とんかつ屋の悲劇
よしをです。
最近、耳にした言葉に、「とんかつ屋の悲劇」というのがあります。
ここ数年で、東京都内を中心に、
人気とんかつ店が次々と廃業しているといいます。
そのような人気店では、本来であれば、
1000~1500円で提供するようなとんかつを、
600~800円と、格安の値段で出していることが多いということです。
長年、値上げもせず、
高いクオリティの商品の提供を可能にしているのは、
すでに減価償却が終了している厨房設備や、
ローン残債のない自社店舗、年金をもらいながら、
夫婦で切り盛りしているという、営業スタイルがあるからです。
ある意味、年金受給が、
この店の経営を続けていくための補助金の役割をしているのです。
ところが、このような経営を続けた結果、世代交代の時期がくると、
後継者となるべき、若い世代にとっては、
この店がいくら繁盛店でも、
とても生活していける状況にないということになります。
これは、とんかつ屋に限った現象ではありません。
ほかの、個人経営の飲食店でも、同じことがおこっています。
年寄夫婦や、老人がひとりで経営している店は、後継者はなく、
いずれは、消滅する運命にあります。
わたしが学生時代に通った、東京都内の喫茶店のオーナーが、
高齢のため、10年前に店をたたむことになったのですが、
わたしと同じように、大学生時代にそこに通っていたという、
酔狂な客が、店を継ぐことになりました。
しかし、店を続けるためには、
営業スタイルや、料金体系を根本的に見直さなければ
経営は立ち行かず、,
かつての学生街の喫茶店が、
おしゃれなカフェに変身してしまったということです。
(それはそれで、貴重な成功事例ではありますが…)。
現段階で大繁盛の店にも、このような裏の事情があるのです。
外食産業は、1991年をピークに、店は減少の一途をたどっています。
人口減少や、コンビニやチェーン店の出店強化によって、
このような個人営業の店は、さらに少なくなってきます。
今後はどんどん、高齢化時代になっていますが、
高齢者のいきいきとした働き場所を提供するという意味でも、
個人経営の事業については、
効果的な補助金制度などの拡充を、検討すべきだと思います。
今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。