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電通と働き方改革

よしをです。

 

ホワイト企業という言葉が、なんとなく一般化してきました。

もともと、広告会社の電通の女性社員の過労自殺に端を発して、

政府主導の働き方改革が、国家レベルですすんでいますが、

企業のあり方についても、価値観に変化が生まれてきました。

 

そのなかで、若手社員の定着率が高く、やりがいが感じられ、

ワークバランスが整備されている会社を、

一般的に、ホワイト企業と呼んでいるようです。

その反対に、悪名高いブラック企業とは、

社員に、恒常的な長時間労働を課し、

とくに、若手社員の離職率が高い企業を差しています。

 

わたしは、ホワイト企業の定義でもある、

離職率の低さやワークバランスが整備されていることは、

社員側(とくに若手社員)のとっての、理想像ではあるものの、

日本の産業社会が、企業に求める理想像とは、

若干趣が異なると考えています。

 

理想的な企業について、

わたしは、「優良企業」という言葉を使っています。

優良企業とは、財務が健全で、

長期間、安定的に収益を生み出せるビジネスモデルがあり、

社員の教育や、倫理観を醸成することに熱心であり、

社会に貢献する企業のことです。

わたしは、企業人のひとりとして、

ホワイト企業というものが、いかにも、ゆとり世代が考えそうな、

生ぬるいものに感じるのです。

 

広告業界の業務というのは、

スポンサーからの指示をどれだけ早く、手厚く、

対応できるかにかかっています。

事件前の電通は、

スポンサー宣伝部からの要請をいち早く受け、

キャッチコピーの制作や、CMタレントのキャスティング、

広告枠の手配から、CM素材の差し替えなどの、

さまざまな問題解決のために、

多層的な人海戦術と、長時間労働をもって対応し、

他社にはマネのできないレスポンスを発揮することで、

圧倒的な優位を誇っていました。

 

たとえば、テレビ局との関係では、

テレビCMの枠を、どこよりも多く買い切り、

電通が、責任をもって穴埋めするという

関係性が、できあがっていました。

 

まさに、「鬼十則」の体現そのものです。

電通であれば、製作物についても、

媒体の広告枠についても、

無理を聞いてくれるということで、

市場は自然に寡占化していきました。

 

今や、その圧倒的な存在感は、薄れつつあります。

広告の世界は、どれだけ広告費と投入すれば、

どれぐらいの販売効果となるのかといった、

データ主義に傾倒しつつあります。

スポンサーと広告会社、マス媒体との関係性も、

ドライなものに変化しつつあります。

 

電通は、大きく方向修正を図ることになりました。

電通は、自殺事件以来、働き方改革の先鋒者として、

働き方や、企業風土の改革に、取り組んできました。

22時以降は、事務所を完全にシャットアウトし、

会社のパソコンの持ち出しや、アクセスを禁止して、

社外勤務も一切認めず、取引先との接待を禁じるなどの、

過剰残業の完全廃止をすすめています。

 

自殺事件が起こった時期というのは、

電通マンパワー重視の戦略が、

帰路に立っていたことは確かです。

しかし、あの事件をきっかけにして、

電通は、方向転換を図ることができたわけですから、

結果的に、僥倖だったといえるのではないでしょうか。

 

 

今回も、このブログを読んでいただき、ありがとうございます。